仕事や人間関係で行き詰った時にすぐできる発想転換の方法10選

発想転換の方法をご紹介

仕事を進めているときや、人とコミュニケーションをとっているとき、どうしてもマイナス思考がどんどん強くなっていく時はありませんか?

自分を追い詰めるのではなく、違った側面から見ることで心に余裕をもつための発想転換の方法をご紹介していきます。

目的を言葉にして、見る方向を変えてみる。

人の発想はレンズのようなものです。誰もがそれぞれ、自分なりの解釈で世界を見ています。特に今は多様な考えがある世の中なので発想するというのは、他の人が思いつかないようなことを考える、というよりも身近にあるものの見え方を変えるという方がイメージに近いでしょう。

では考えが行き詰まって、動けないときはどうすればいいのでしょうか。発想を変換するためには、もう一度、目的に意識を向け直すことが重要です。

散歩していても仕事をしていても、はたまた休みをとっているときでも情報は次から次へと目や耳に飛び込んできます。本来そのすべてが新しい発想の種となるはずですが、自分の頭に入ってくる情報はあらかじめ脳によって紋り込まれています。

人間にとって日常的に処理している情報は多すぎて、意識した「目的にあったもの」しか取り入れることができないからです。そのため、意識していても「目的の外にある情報」は取り人れられないので、ずっと同じところをぐるぐる考え続けてしまうことが多いのです。

新しい発想を得るためにや見え方、感じ方を得たいときは「自分は今、本当はどうなればいいのか?」を具体的な言葉にして、頭の中で語り続けてみましょう。今までの考えを全て取り去って一から考えてみるのも良いかもしれません。

発想転換モデル

自分が持っている考えを違った視点から見るためのモデルケースを紹介します。ビジネスの発送転換、生活のセルフケアとして実践してみてください。

記憶のすり替え

心理学者エリザベス・ロフタスの研究

ディズニーランドで観光客がバックスバニーと握手している合成写真を見せたところ、40%の被験者が自分もディズニーランドでバックスバニーにあったことを思い出しました。しかしバックスバニーはディズニーのキャラクターではなく、ワーナー・ブラザースのアニメーションキャラクターです。

そのため、その記憶はありえません。つまり目の前の出来事に対して都合が良いように記憶がすり変わっていたのです。

理想の状況として捉え直す

人はすべての経験を記憶しています。たとえ忘れていたとしても、意識の奥底にはちゃんと残っていると考えられています。東京大学大学院薬学系研究科の池谷裕二教授らの研究グループは、脳内のヒスタミン神経系を刺激する薬物をマウスあるいはヒトに投与すると、忘れてしまった記憶をスムーズに思い出せるようになることを発見しました。

ただし記憶というものは、正確なものではありません。その時その時の自分の解釈によって、編集が加えられているものです。記憶はいい加減なものなので、苦手だと思っている物事が本当に苦手とは限りません。

今までの自分がどうだったかは、自分の成長には関係ないのです。苦手だった記憶は思い込みかもしれないと、記憶を疑ってみて、もう一度チャレンジしてみてはいかがでしょうか。これからどんな風に変えていきたいのか、ポジティブに考えてみることで、実は苦手だった記憶をうまく変えていくことができるかもしれません。

具体的な行動としては「将来の自分はどういう人になっているだろう?」「どんな活動をしているのだろう?」そういった質問をくり返すことによって、徐々に「未来の記憶」が作られていきます。未来の記憶が増えていくことによって、現実もつじつまが合うように変化していきます。

自信がつくまで、自信のあるふりをしてみましょう。自分だけでそういったことが難しいのであれば、会社の先輩、地元の経営者などにメンターとして助言をいただくのも良いでしょう。

マスト思考

やらされている感を持たされている人は、他人に対してもやらされている感を与えがちになります。言葉づかいは丁寧で、相手への配慮もしっかりとしていたとしても、言葉の中に悪気なく「〜すべき」「〜しなさい」という命令のニュアンスを含ませている人は多いものです。

会社内だけではなく、家庭内でも、学校内でも「〜すべき」「〜しなさい」という言葉は満ちています。そこから「やらされている感」は生まれてしまいます。

上司から「やらされている感」を与えられた中間管理職の人は、部下に対して「やらされている感」を与え、その部下は、そのまた部下に「やらされている感」を与え、組織全体が「やらされている感」に満ち、自分から「こうしたい」という積極的な気持ちが失われていきます。

みんなが積極的に動くためにはお互いに、相手が「自分はどう動くべきか?」を考えるきっかけを作ってあげることが大事です。「ご都合はいかがでしょうか?」という風に相手の意見を聞きながら進めることで、相手は自分自身の選択として動いてくれます。

自分で仕事の流れを作れる人ほど、先に相手の行動も指示したくなると思いますが、相手の判断を待つことも大切な仕事です。それぞれが自分で考えながら動くことができれば、みんなでできる仕事が増え、仕事自体が大きくなっていくからです。

お願い事をするときは、声のかけ方を意識して相手に選択権を持たせましょう。

単純化

人間は特定のカテゴリーで考えると、偏った考えを持ちやすくなります。わかりやすいイメージは疑いましょう。

人は物事を分類して考える習性があります。文系、理系というだけでも、「こういう人だろう」というイメージを持ってしまいますよね。弁護士、医師、大企業の役員なども同じように、多くの人が彼らのことを「頭がいい人」だと思いがちです。彼らが何もしていなくても、難しいことを深く考えているように見えたり、頭が良いように見えるかもしれません。

単純に「決めつけ」という行為そのものが悪いわけではありません。脳は1日に凄まじい回数の判断処理をしているため、ある程度カテゴライズされた「決めつけ」がないと情報を処理しきれずパンクしてしまいます。

ですから新たに処理しなくてもいいような情報は、定型的な処理をすることで脳の負担を減らしているのです。ただなんでも決めつけるようになると、固まったイメージを変化させることを嫌ってしまうため、「どうせ●●」という考えが頭の中にできてしまう可能性があります。

「どうせ●●だから」という言葉は、チャンスを逃してしまう言葉です。チャンスは、みながふだん気づけない「もしかすると」「かもしれない」の先に隠れているものです。

「決めつけ」を減らすためには、読書・色んな世代の人とのコミュニケーション・旅行など、さまざまな価値観に触れ、理解の幅が広がり多様性を受け入れられるようになることが重要です。

「もしかすると」「●●かもしれない」という視点を持ってみましょう。

問題の客観視

問題は自分が直面しているものよりも、他人が直面している問題の方が答えを見つけやすいものです。

自分に問題が起き、どうしたら良いか判断がつかず、対処しようとしたら問題が大きくなってしまい、焦りやイライラが加速し、時間ばかりが経過していく。

そんな状況に追い込まれた時、まずは自分がそういった問題に気づいたことを自身で褒めてあげましょう。

自分の脳の中で「どうしたら良いのだろう?」という疑問をくり返していると、現実を見る視点が「どうしたら良いのか分からない、大変だ!」のまま固定されてしまいます。

問題を解決するためには、まずはいったん今の状況を他人事のようにとらえ直し、俯瞰してみることが重要です。考え直してみると、実はそもそもそこまで大変なことではない可能性もあります。

このような状況に追い込まれているのが、もしも自分自身ではなく他の人で、その人がもし自分のところに相談にきたら、どう答えてあげるかを考えてみましょう。客観的にみることが難しいのであれば、言葉やテキストにしてみることも有効です。

もし直面している問題が自身で解決できないほど困難なものであるならば、調べるか、知っていそうな人に聞いてみましょう。いま答えが出ないものは、情報不足により判断がつかなかったりするケースもあるので、その時に悩んでいても仕方がない、ということに気づけるかもしれません。

調べ方や聞く相手によって、費用がかからず解決できることも多いですが、法的な問題など、費用をかけて専門家に聞いてでも解決案を探る必要があるケースもあります。

そういった場合は近くの専門家に聞いてみたり、まずはヒントを得るため「ビザスク」「ココナラ」「ランサーズ」といったスキルシェアサービスを活用するのもの良いかもしれません。

変化の見落とし

私たちの意識は「あるはず」と思っているもの以外、なかなか見つからないようにできています。逆に「ないはず」「無理だろう」ということに、疑問を持って自分自身で質問を投げかけてみると、意外と解決策が見つかるかもしれません。

ピンチはチャンスといいますが、チャンス自体は最初からあるものです。ただ、通常はそのチャンスにピンチになってみないと気づけないものなのです。チャンスに気がつくようになるためには、自分が解決策を見つけられないこと、実現したいことなどについて常に意識するマインドセットが重要です。

そうすれば、人との会話や漫画、映画、ポスターなどいろいろなものが情報を得るためのヒントになります。まずは「できるかもしれない」と考え、それに対して意識するマインドセットを持つようにしてみましょう。

偽陽性と偽陰性

スタンフォード大学のジャスティン・バーグはサーカス団員たちに、サーカスのパフォーマンスがどれぐらいの観客の心を掴むのか予測してもらう実験をしました。

すると自分のサーカス団の予想は甘くなり、サーカス団マネージャーからの評価は厳しく、別のサーカス団のパフォーマンスを予測させた場合が最も正解が多くなるという結果になりました。

つまり以下のことがわかりました。

  • 当事者の予想は甘すぎる(偽陽性を発揮:ポジティブさ)
  • 管理者の予想は厳しすぎる(偽陰性を発揮:ネガティブさ)
  • 第三者の予想が一番当たりやすい。(信愚性が高い)

新しいことをはじめるとき、それがどんな結果をもたらすのか、正確に当てるのはなかなか難しいものです。自分たちの予想はもちろん、仲間に聞いても、ベテランの上司にヒアリングしても、実際の結果を見てみれば全く見当はずれだったことが多々あるのではないでしょうか。

普通、自分たちは甘く、管理者は厳しいものだからです。そのため新しい試みがうまくいきそうかどうか、信憑性が高い判断が欲しければ、事情を知る第三者から意見をもらうのが良いでしょう。

それは同業他社で親しくしている人でも良いですし、別部署の仲間でもいいかもしれません。甘すぎず、厳しすぎることもない、利害関係はなく、同じ喜びや苦労を味わっているプロフェッショナルの予想が、一番信用できると言えます。

なにかを始めるときは、コミュニティの外にいる人と話して意見をもらってみましょう。

要請と理由

添えられた理由を疑いましょう。

人は、何かしらの理由がある行動には疑問を持ちにくいと言われています。お願い事に何か理由が添えられると、切迫した感じが伝わり、断りづらい気持ちになるものです。それでもすぐに承諾するのではなく、その理由の内容は本当に正しいものかしっかりと判断するようにしましょう。

フォーカスの更新

仲が悪く嫌いな相手は、自分から「相手がする腹の立つこと」にアンテナを立てている状態だともいえます。ずっと嫌な部分を探し続けていることになります。相手が変わらなくても、視点を変えるだけで、相手に対する感情が変わります。

改善したい場合は、良い点だけを意識してみましょう。

観察と人間性

人の行動を鮮明に描写する事は、その行動を印象づけることになります。漫画のキャラクター設定やペルソナの設計など、人の行動は描写を細かくするほど、人間味が生まれ、信頼性も生まれます。

こうしたいと言う願望も、細かく描写すればするほど、実現の信頼性が高くなるかもしれません。

先見的後知恵

過程を考えるよりも、「そうなった」と言う前提から考えた方が、発想が膨らみやすい傾向があります。

想像力を高める方法の一つに、もう「そうなんだ」という状態にしてしまい、そこから発想するという手法があります。その場面の中で人が話すこと、表情、周りの反応などを想像すると、そこで起きていることを予測してみましょう。

まとめ

私たちは、脳の仕組み上、自分の身のまわりにある物事を見たり、知ったりしている気になって、考えることを怠けようとしています。いま、これをはじめて見たり、知ったりしたという視点で見直してみることで、意外な突破口が見つかるかもしれません。

一から考え直すというのは、なかなかしんどいことですが、重要なのはアイデアそのものではなく、アイデアを形にしていく過程にあります。

それは停滞、やり直し、後戻りのくり返しです。進んだと思ったら次々と壁が現れて、さらに新しいアイデアが求められたり、実行してみて、ようやくわかることもあり、妥協しなければならないことも出てくるかもしれません。実現に時間がかかってしまい、アイデア自体が陳腐化してしまうこともあります。

それでも良いアウトプットを生み出すためには、そんな無駄で、面倒くさくて、やりきれない過程がどうしても必要なのです。

本当に物事を進めるのが難しい場合は、発想を転換するモデルを参考に、一度白紙に戻してから考えなおしてみてはいかがでしょうか。